2015/12/28
前回は歯周病の仕組みについて少しお伝えしました。
歯並びや噛み合せが悪いことから磨き残しが生まれ、
齲蝕(虫歯)や歯周病につながっていくということもお伝えしました。
今回のテーマは免疫と歯周病の関係についてです。
歯周病の原因は、先に書いたように
磨き残しが主な原因ですが、
実は他にも様々あります。
最近の研究では、歯ぎしりも歯周病の原因ということがわかってきています。
歯ぎしりは、体重近い力が加わっているので、
歯周組織を過度に刺激してしまい、
歯茎に炎症を起こすことがあります。
この歯ぎしりの原因としては、噛み合わせの左右バランスや前後バランス、
クラウン(いわゆる差し歯)やブリッジ(欠損部の差し歯)などが
きちんとフィットしていない場合なども原因の一つとして挙げられます。
そして注目されてきているのがストレスです。
寝ているときでも強いストレスを感じている場合に
人は強く噛むといわれています。
またストレスがかかると唾液の分泌も下がると考えられています。
口の中が渇いてくると唾液による殺菌効果が下がり
虫歯、歯周病のリスク増加へつながってきます。
また、人間の身体は自律神経と免疫、
そしてホルモンバランスによって健康を保っています(ホメオスタシスの三角形)。
ストレスにより、自律神経のバランスが崩れてしまうとホルモンの分泌が下がり、
結果的に免疫も下がってしまいます。
免疫が下がることで口腔内の歯周病菌が繁殖しやすい環境が整ってしまい、
歯周病につながってしまうこともあります。
この関連性は、顎偏位の患者さんでも同じように説明できます。
顎偏位というのは、噛み合わせ、歯並びが悪く、
強く噛みこんだ際に下顎が左右どちらかに偏ってしまい、
下顎がゆがんでしまっている状態を指します。
顎偏位になると食べ物がしっかりと噛めないというだけでなく、
肩こりや偏頭痛などにもつながります。
またそこからイライラにつながり自律神経の乱れにもつながってきます。
歯周病は本当に多くの人が関連してくる病気です。
一見関係のないようなことでも巡り巡ってくることもあります。
逆に言うと歯周病を治そうと思ったときは、
その原因をしっかりと見ていく必要があるということです。
これは歯周病に限った話ではなく、矯正治療全体にも言えることです。
単に叢生(デコボコ、乱ぐい歯、八重歯)や上顎前突(出っ歯)、
下顎前突(反対咬合、受け口)を治せばよいということではなく、
その症状になった原因を突き止めていかなくてはなりません。
例えば上顎前突の治療で外科手術をして上顎を後方に下げることが
必ずしも正解とは限らず、状態によっては下顎の前方への成長を
促すことが必要かもしれません。
また治療した後も、治療前の状態に戻ろうとする人間の仕組み、
恒常性が働きますので、保定装置期間もとても大切になってきます。
今回は歯周病のお話を書きましたが、
これからも横浜ひらの矯正歯科では、その原因までしっかりと見極めて、
根本から噛み合わせ、歯並び、そして歯の健康全体を考えていきたいと思います。