2018/12/07
今日は、矯正治療を考える際に多くの方が懸念される痛みについて
少し書いていこうと思います。
今回は特に「受験」を控えているお子さんからの
ご質問の答えになると思います。
「受験を控えていますが、矯正治療を開始すべきでしょうか?」
色々な見解がありますが、半年以上前でしたら、
比較的痛みや違和感になれている状態で受験に入りますので、
問題ないと思われます。
もちろん、個々の感じ方には差があるので、
心配であれば受験が終わってから治療開始するということもできます。
ただ、大切なのは患者さんの年齢、
そして不正咬合の状態とその原因をしっかりと把握することです。
不正咬合の状態と原因によっては、
治療開始を遅らせた分、悪化するということもあります。
例えば下顎前突(反対咬合、しゃくれ)といった不正咬合で、
機能的な原因を持っている場合です。
下あごの成長というだけでなく、
上顎の前歯が食べ物を噛むたびに下顎の前歯を押し出す力が働いている場合は、
時間の経過とともに下顎が前に出ていく、
あるいは下顎前歯が外側に倒れこんでいくということもありえます。
そこで矯正歯科医として出来ることをみていくと、
受験のタイミングに合わせてワイヤーの力を
弱めていくということが挙げられます。
基本的な治療は、歯にブラケット(矯正装置)を取り付け、
そのブラケットに金属のワイヤーを通して固定し、歯を動かしていきます。
治療開始の段階では、レベリングといって、
大体の歯の並びを作っていきます。
このレベリングの段階では、極力弱い力を加える細いワイヤーで治療を開始します。
ある程度並んでから、歯の傾きなど正確に作っていくのですが、
治療を進める段階が進む中で少しずつワイヤーを
太く強い力が加わるようにしてコントロールしていきます。
受験のタイミングでそのワイヤーの太さを下げたり、
あるいはブラケットとワイヤーを固定する部分の力を緩くすることで、
歯に加わる力を下げ、痛みがない状態にすることが出来ます。
治療期間がその分少し長くなることもありますが、
治療開始を遅らせることで
不正咬合が悪化することを考えるとメリットがあります。
歯列矯正は、患者さん個々に不正咬合の原因も状態も違うものを、
患者さんに合わせてオーダーメイドで治療していくものです。
しかしそれは口腔内の状態の問題だけでなく、
患者さんのライフサイクルにも合わせていくことが大切だと考えています。
受験に限らず、就職活動、結婚式など、
様々なタイミングもしっかりと把握したうえで、
一緒に治療計画をみていければと思っております。