2019/07/08
矯正治療は通常のむし歯治療とは違い、その場限りの治療ではなく、
しっかりとした噛み合わせ、歯並びを得るために時間をかけて行っていきます。
歯が実際に動いている動的治療期間と、
歯が綺麗に並んだ後、戻ることのないようリテーナーなどで
維持する保定装置期間があり、合わせると年単位での治療期間になります。
その治療の途中で、矯正治療をやめられるかという質問を
稀に受けることがありますので、今日はその点について書いていこうと思います。
まず、途中で治療をやめることに関して、
本人の意思とそうでない場合があります。
後者の場合は、転勤などの引っ越しによるものが多く、
実際は治療をやめたいというより、
「やめなくてはならない」という勘違いだったりします。
矯正治療は引っ越し先でも続けることが出来るので、
まずはご安心頂ければと思います。
多くの矯正医は、私も含めて矯正歯科学会やセミナーなどに参加しています。
同じ大学の同門の矯正歯科医も多くいます。
そのため、引っ越し先でも治療が続けられるようなネットワークがあり、
引っ越し先の矯正医を紹介する形で治療を続けることが出来ます。
気になるのが、本人の意思で治療をやめたいという場合です。
本人の意思なので、治療を続けることを強制することはできませんが、
出来る限り最後まで治療を続けた方が良いので、
リスク、ポイントをいくつかご紹介いたします。
■費用の面は?
歯科医院によってお支払い方法に違いがあるので、
かかる医院に確認が必要です。
通常、転院の際に治療が進んだ分だけ治療費を払い、過分な分は清算をして返金をしてくれる形となりますが、クリニックによっては費用が戻ってこないケースもある様です。
■後戻りリスク
治療を途中でやめると、それまでに治った分が維持されるか
というとそうではありません。
治療途中の場合、噛み合わせ含めて正常になっていないため、
一見凸凹などの不正咬合が改善されているように見えても
その原因が解決されていません。
そのため、また元の状態に戻る「後戻り」という現象が起きてしまいます。
せっかく並んでも元に戻ってしまうため、注意が必要です。
■治療再開は可能?
治療を中断したが、やっぱりまた再開したいという場合もあります。
中断していた期間にもよりますが、
途中から同じように再開できるかというと
意外にそうはいかないことがあります。
まず第一に上に書いた後戻りが起きていると、
再度検査、診断を行い、そこから新しく治療計画を立てる必要があります。
生活環境の変化など、本人の意思とは関係なく
治療を断念せざるを得ないこともあると思います。
できる限り治療を最後まで続けることが大切ですが、
まずはかかっている矯正の先生に状況をしっかりとお伝えし、相談してみてください。
一時的に矯正装置を外して、リテーナーでその状態を保持し、
治療を再開する時にまた矯正装置を付けて治療を進められるかもしれません。
一番初めに書いた通り、矯正治療は治療期間がそれなりに必要で、
その間様々なことが起きます。歯科矯正医と患者さん、スタッフ、
それぞれが信頼し合い、なんでも相談できる関係が大切だと考えていますので、
小さいことでも気になることがあればご相談ください。