犬歯の萌出障害と歯根吸収リスクについて:「ひらの矯正歯科」ブログ

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犬歯の萌出障害と歯根吸収リスクについて

今日は犬歯について少し考えていきたいと思います。

 

ご存知の通り、歯は成人で28本あり、それぞれの歯の役割は違います。

 

前歯にあたる歯を「切歯(せっし)」と呼び、食べ物を噛み切ったり、

言葉を話す際の発音に影響します。切歯で噛み切ったものを細かくすり潰すのが奥歯で、「臼歯(きゅうし)」と呼んでいます。

臼歯は小臼歯と大臼歯とがあります。

 

そして今回のテーマ「犬歯(けんし)」は、前から3番目の歯のことを指し、

食べ物を切り裂く役割があります。

歯の中で歯根(歯の根っこ部分)が一番長く強度が高いのが特徴です。

また、犬歯は物を噛む際に顎の動きが正しくなるように機能し、

正しい噛み合わせの位置を保つという重要な役割があります。

 

乳歯から永久歯に生え替わるのが、だいたい6歳ころから12歳ころで、

個人差はありますが、だいたい犬歯の生え替わりは切歯や臼歯の後になります。

他の永久歯が生えた後に出てくる犬歯は、隣の側切歯(前から2番目の歯)の歯根に沿って生えてきます。

 

 

そのような犬歯ですが、近年特に上あごの犬歯が正しい位置に生えてこない方が増えてきているようです。

昔と違い、顎が小さく、1本1本の歯が大きくなっていることから、

犬歯が生えてくるスペースが十分確保されず、歯列からはみ出た状態(萌出障害)になってしまい、

見た目だけでなく、咬み合わせやほかの歯に悪影響を与えることが分かってきています。

 

(ちなみによく「八重歯」と呼ばれていますが、八重歯は正常な歯列からはみ出ている歯のことを指します。

犬歯が萌出障害になっているケースが多いため、犬歯が飛び出ている状態=八重歯と思われがちです。)

 

 

犬歯の萌出障害でこれまであまり知られていなかったのが、

隣の側切歯の歯根吸収です。

歯根とは歯の歯茎に埋まっている部分を指しますが、

歯に余計な力が加わり続けたり、犬歯の萌出障害のように隣接する歯が歯根のセメント質や象牙質を溶かしてしまうことがあり、これを歯根吸収といいます。

永久歯の犬歯が生えてくるときは、上に書いた通り側切歯の歯根に沿って生えてくるため、

その確度に問題があると側切歯の歯根に余計な力を加えながら生えてくることになってしまい、稀に側切歯の歯根吸収を起こしてしまうのです。

 

人によりますが、歯根吸収は歯根の半分くらい失っても痛みもなく、歯の変色など本人が気づくことはあまりありません。

半分以上歯根吸収が進むと、痛みを感じたり、最悪のケースでは歯が抜けてしまいます。

 

こういった症状になってしまうケースは、率的にはそこまで多くはありませんが、

犬歯の萌出障害は多くの患者さんで見受けられます。

 

 

歯根吸収から歯が抜けてしまうというレベルまでいかないまでも、

咬み合わせにも影響する犬歯の状態は早めに確認しておくことをお勧めしています。

特に生え替わりの時期に歯根の状態もチェックしておくことで、

こういったリスクを防げる矯正治療法もあります。

 

 

不正咬合を治して見た目が綺麗で正常な噛み合わせを手に入れる矯正治療ですが、

見えないリスクを防ぐのも矯正治療の大切な目的の一つだったりしますので、

気になる場合は矯正医に相談してみてください。