2023/04/10
今回は、顎関節症と不眠というテーマについてお話していきたいと思います。
そもそも顎関節症は、あごが痛む(顎関節痛・咀嚼筋痛)」、「口が開かない(開口障害)」、「あごを動かすと音がする(顎関節雑音)」のうちの1つ以上があり、これらと同じような症状の出ることのある、顎関節症以外の病気がない時に顎関節症と診断されます。
実際には、患者さんへの聞き取り(問診)、あごの動きの検査、あごや咀嚼筋の痛みの検査、レントゲン検査、必要に応じてMRI検査などを行い、顎関節症以外の同じような症状を呈する疾患を鑑別した上で診断を行います。
また、痛みには、身体的な傷害だけではなく、心理的・社会的な因子も強く関連することから、これらの状態は心理テストなどを用いて検査する場合もあります。
(日本顎関節学会参照:https://kokuhoken.net/jstmj/general/about_tmd.html)
この顎関節症になる原因として考えられているものはいくつかあります。
「歯ぎしり」「食いしばり」「噛み合わせの悪さ」「ストレス」などが関与していると言われており、複数が絡み合って原因となっていることもあります。
歯ぎしりや食いしばりなど、筋肉に過度な負荷をかけ続けていると、肩や首の凝りや、自律神経の乱れに繋がることもあります。
この自律神経の乱れで、副交感神経より交感神経の方が優位な状態が続くと、いわゆる興奮状態となり、眠りにつきにくくなったり、眠りが浅くなることも考えられます。
では顎関節症が疑われるときに、そのようなことに注意をすればいいのでしょうか?
顎関節症は、日常生活における行動や癖が症状と関係している場合があるため、知ることと注意することで緩和できる可能性もあります。
具体的には、「顎関節への負担を減らすため、硬い食品や長時間の咀嚼は避ける」「頬杖をやめる」「猫背の場合、姿勢をよくする」「食事以外で上下の歯が接触していることに気付いたら歯を離すようにする」「強い心理的な緊張を感じる環境があれば、それを改善し避ける」などが挙げられます。
また、歯列の乱れや噛み合わせの悪さが原因で顎関節症が疑われる場合は、矯正治療で改善できる可能性もあります。
左右どちらかの歯ばかりで噛んでいたり、変な噛み癖がついていると、顎関節に日常的に負荷がかかってしまうため、注意が必要です。
いずれにしても、顎関節症の判断はしっかりと検査した上で確認してみないとわかりません。肩や首の凝りが続いている、それに伴ってなかなか眠れないなどの症状がある方は、一度矯正治療を専門に行っている歯科医院での検査を受けてみるのはいかがでしょうか。
原因がわからないと必ず改善するとは言えませんが、可能性の一つとしてご提案はさせていただきたいと思います。