2016/08/09
今回は金属アレルギーに関してお話していこうと思います。
歯を動かす矯正治療は様々な方法がありますが、
基本的には歯に弱い力を加えて時間をかけて動かしていくことは共通しています。
多くの場合、ブラケットと呼ばれる矯正装置を歯に装着し、
そのブラケットに金属のワイヤーを通し、
金属のワイヤーがもとの形状に戻る力を利用して歯を動かしていきます。
このブラケットは様々な材質があり、
一昔前はほとんどが金属でした。
そこで金属アレルギーの方の場合、
矯正治療が受けられないということもありました。
先にお伝えしておくと、現在では金属の材質も様々あったり、
セラミックのものもあるため、金属アレルギーの方も矯正治療を受けることが出来ます。
ではそもそも金属アレルギーはどういったものかを見ていってみましょう。
金属アレルギーの場合、食べ物のアレルギーとは違い、
アレルゲンに触れる機会が少ないため、
ご自身が金属アレルギーということに気づいていないということも多々あります。
金属アレルギーは、何らかの原因で金属イオンが、
皮膚や粘膜を通して血液に入り、タンパク質と結合します。
このたんぱく質と結合したものは本来身体になかった物質で、
それを排除しようと過剰に免疫細胞が活動し、アレルギー反応としてでます。
歯科における金属アレルギーの最も多い物質は、
ニッケル、クロム、コバルトなどで、
矯正材料においてもこのニッケルなどが多々使用されてきました。
ではアレルギー患者さんの場合の矯正治療はどういったアプローチがあるかを
ご紹介します。
①セラミックブラケット
金属ではない材質、セラミックのブラケットを選択できます。セラミックは陶器のもの、中には人工サファイアなどもあります。見た目にも透明や白いものが多く、審美的に選択される方も多くいらっしゃいます。
②マウスピース矯正
ブラケットではなくマウスピース矯正を選ぶこともあります。矯正専門医によって意見が分かれますが、不正咬合の状態によって選択できない場合もあります。上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口、しゃくれ、反対咬合)などの重度の不正咬合の場合や、噛み合わせの改善を必要とする場合は難しくなったりします。
その他、アレルギー反応のほぼない金合金を使用しているブラケットなどを選択する矯正医もいます。
このように矯正器具に関して金属アレルギー対策はかなり進んでいます。
そして大切なのは自分が何の金属アレルギーなのかを治療前に確認するのが安全です。
例えばニッケルのアレルギーであれば、ニッケルが全く入っていない金属のワイヤーを選択することで解決出来たりします。
アレルギーに関してはとても難しい問題であるので、
しっかりと事前の確認、対応方法などを矯正治療専門医と相談したうえで、
安心して矯正治療を始めていただければと思います。