2017/02/04
今日は抜歯、非抜歯について少し考えていきたいと思います。
抜歯治療と非抜歯治療に関しては、
様々な学会でも議論され続けていて、
明確な「正解」はないかもしれません。
不正咬合の状態や、骨の状態、顎関節の状態、年齢、
などが関係してくるので、患者さん一人一人に
ベストな治療ということしか言えません。
今回はそんな難しい問題である抜歯、非抜歯について書いてみます。
非抜歯での治療を求められる患者さんは当然多く、
横浜ひらの矯正歯科でも基本的に非抜歯での治療をしています。
非抜歯治療の方法はいくつかありますが、
逆にそもそも抜歯は何のために必要になるのかを考えてみましょう。
矯正治療において歯を抜く必要があるのは、
歯を並べるスペースがないという時です。
軟らかいものばかり食べていることなどから
顎の骨の成長が進まなかったというのは現代人の特徴かもしれませんが、
多くの顎の小さい患者さんが来院します。
顎が狭くなると歯が並ぶスペースが足りなくなり、
叢生(デコボコ、乱ぐい歯、八重歯)などの不正咬合になってしまいます。
ではこういった場合に歯を抜かずに治療する方法を見てみましょう。
まずは歯列を広げるという方法があります。
歯の内側から外側に広げる力を加え、
できる限り歯列弓(アーチフォーム)を広げ、スペースを作ります。
また一番奥の第二大臼歯(親知らずがある場合は、親知らずの状態を確認の上)を
奥へと送りスペースを作る方法もあります。
またディスキングといって歯の側面を少しだけ削るという方法もあります。
このような色々なアプローチを使い、非抜歯での治療をしますが、
注意しなくてはいけない点があります。
それは「限界がある」ということです。
顎の骨を広げる方法、大臼歯を奥へ送る方法でも
歯がキッチリと並ぶスペースが確保できないこともあります。
それは骨のサイズによるもので、どうにもできないところでもあります。
実は「100%非抜歯」という場合、歯並びだけ見ると綺麗に並んでいても、
口を閉じると上下顎前突になってしまうということが起こります。
並べるスペースがないため、前に歯が出てしまい、
横から見ると口元が飛び出している見た目になってしまいます。
無理に歯を並べることにより起こる弊害で、
これを永く放っておくと今度は唇の筋肉の力により
またガタガタになってしまう後戻りリスクも生まれてしまうのです。
非抜歯だから良い治療という訳ではありません。
抜いたほうが良いケースもたくさんあります。
抜歯、非抜歯に関してはとても難しい問題です。
やみくもに「早く治る」ということだけで抜歯するのは問題ですが、
骨のサイズなどもしっかりと検査し、
どっちの治療が良いかをしっかりと
矯正専門医と相談して進めていただければと思います。