2020/02/21
今日は上顎前突を子どものうちに治した方が良い理由について考えていきたいと思います。
以前も書きましたが、上顎前突と一言でいっても種類があります。
「出っ歯」という言葉が馴染みがあるかと思いますが、
上の前歯が前(外方向)に出ている状態です。
しかし、患者さんによっては、上の前歯が外側に倒れている上顎前突と、
下顎の骨が小さい(下顎劣成長)ことで上の前歯が前に出ている状態になっている
上顎前突があります。これを骨格性の上顎前突と呼びます。
それぞれの特徴と、放っておくことのリスクをみてみましょう。
・特徴と原因
多くの方が「出っ歯」でイメージする不正咬合がこちらだと思います。
上の前歯が前に倒れいている上顎前突の原因の多くは、
舌癖や指しゃぶり等、患者さんの生活習慣や癖によるもの、または骨格性のタイプいわゆる顎自体が出っ歯のタイプです。
・放っておくことのリスクと対応
このケースの原因は、日々の癖から来るものなので、
放っておくことで症状が悪化することが考えられます。
そのため、歯並びの改善治療と同時に、
原因となる癖を改善していくことが必要になります。
・特徴と原因
骨格性の上顎前突は、上にあるように下顎の骨の成長が進まず、
顎の骨自体が小さいことで起きるもの、
下あごが後ろ方向にずれているものなど、患者さんごとに違います。
その原因も様々で、遺伝による先天的なものから、
頬杖などの環境要因によるものとあります。
・放っておくことのリスクと対応
実は問題となるのがこちらです。
たまに「生え替わりが終わって様子をみてから治療を考えましょう」
という話を聞くことがあります。
もちろん症状によっては、すぐに治療せずに様子を見るケースはあります。
例えば子供の「隙っ歯」などは永久歯への生え替わりによってバランスが整うケースが多々ありますので、様子をみることもあります。
しかし、骨格性の上顎前突の場合、いざ永久歯に生え替わってから治療を考えると、
抜歯や外科手術が必要になってしまうことがほとんどになります。
というのは、下顎劣成長などが原因での上顎前突は、下あごの成長を促そうにも、
骨の成長が終わってしまっているため、噛み合わせを正常にするために抜歯をしたり、
顎の出っ歯が重度な場合、骨を酢術でカットして揃える手術などおおがかりな処置が必要になってしまうのです。
その為、骨格性の場合は、骨の成長が続いている段階で治療を開始し、
出来る限り抜歯と手術なく治療することが重要になります。
■骨の成長を助ける治療
下顎の成長を助けながらの治療はいくつか方法があります。
ヘッドギアなどを使って顎の成長をサポートしたり、
マウスピースを使用したり、患者さんの状態に合わせた治療方法を選択していきます。
ひらの矯正歯科で重要視しているのが、
患者さんの精神的負担を出来るだけかけないように治療するということです。
そのため、自宅でご自身で着脱できるものを使用し、
骨の成長を助けていきます。
実際にこういった症状で相談にこられる方が驚かれるのですが、
ブラケットなどの矯正装置を歯に付けることなく、
顎の成長を促すだけでほぼ歯並びが改善して揃っていくことも結構あります
(全ての患者さんに当てはまるものではございませんが)。
患者さんご自身、あるいは親御さんが骨格性の上顎前突かどうかを
判断することは難しいかと思いますので、
少しでも気になる場合は将来の手術や抜歯の可能性を判断するためにも、
早めの相談をお勧めしています。