2021/08/29
今回は、矯正治療中のホワイトニングについてお話していきたいと思います。
患者さんからたまに「矯正治療中にホワイトニングまで一緒にやってしまいたいのですが出来ますか?」という質問を頂くことがあります。
結論から言いますと、これはあまりお勧め出来ません。
それは何故かという事を説明していきたいと思います。
まず歯の見た目の色はどの様に決まっているのでしょうか?
これは患者さんの本来の歯の色と、そこに当たる光の量で決まっています。
真っ白いシャツを着た人を晴天の日に見るのと、
曇りの日に見るのでは印象が違うのではないでしょうか?
これと同様に、元々歯が白い人でも叢生などで陰になるところが多ければくすんで見えることもあるので、一概にホワイトニングで満足いく見た目になるかどうかは少し疑問があります。
また、治療中には矯正装置(ブラケット)がついていますので、
その状態だと矯正装置の下にホワイトニングの薬液が届かず、
装置を取り外した時に色の差が出てしまう可能性があります。
歯全体の色よりも、色むらがあったり斑になっている方が印象としては悪く感じてしまう可能性が高いので、装置を外してからホワイトニングを行うことをお勧めしています。
ここで少し勘の良い人は、最近マウスピースを用いた矯正治療が出てきているため、
それならば出来るのではないかという質問を投げかけてくることもあります。
ただあまり一般的に知られていないのかもしれませんが、
マウスピース型矯正装置で治療を行う際に、症例によっては歯を動かす力をコントロールするために歯にレジンセメントを設置する必要があります。
歯の色と近い色のレジンを使用しますので、目立ちにくくはなっているのですが、
矯正装置と同様に歯に接着しているものなのでホワイトニングの薬液が歯面まで届かないところが出てきます。そうすると、結局こちらでも色むらが出来てしまうことになりますので、お勧めすることは出来ないかなと思います。
この様に、矯正治療とホワイトニングを一緒にやってしまったらよりきれいに仕上がるのではないかという気持ちはわかるのですが、実際は難しいというのがわかっていただけたのではないかと思います。まずは矯正治療に専念していただき、それからまだホワイトニングをやりたい気持ちがあれば行っていただくのがいいのではないでしょうか。
また、矯正治療で審美的な意識が高まって、検討していなかったけどホワイトニングまで希望するというお話もよく聞きますので、その方の満足のいく治療結果が得られるまでしっかりとサポートしていきたいと思います。