2023/12/28
今回は、銀歯があると矯正治療は出来ないのかというテーマについてお話していきたいと思います。
過去虫歯治療で銀色の詰め物(金銀パラジウム合金)=いわゆる“銀歯”を入れたという方は少なくないかと思います。
最近では保険適応内の治療でも銀の詰め物以外使用することができるようになってきましたが、部位や強度などの問題からまだまだ銀色の詰め物での治療も多くあります。
ではここで、過去に銀歯での治療を受けた方は矯正治療ができないのかということについてお答えします。
まず結論から言うと、銀歯などの詰め物をしていても矯正治療を行うことは可能です。
ただ、詰め物をしていない天然の歯と比べると難易度は高くなります。
では何故詰め物で難易度が変わってくるのでしょうか?
矯正治療では、矯正装置(ブラケット)を歯に接着して、その装置にワイヤーを縛り付けて治療を行っていきます。
接着剤は目に見えない歯の表面にある隙間や凹凸に引っかかるようにして矯正装置をくっつけているため、金属のように表面が滑らかなものにはなかなかくっつきません。
そのため方法として、詰め物の表面をざらざらになるように処理を行い、一時的に接着強度を高める方法や、詰め物を外してテンポラリークラウン(TEC)というプラスチックの借歯を装着し、治療後に詰め物を再作成するなどの方法がとられています。
いずれにしても天然歯よりは少し治療の手順が増えるということはご理解いただけたらと思います。
最近ではマウスピース型矯正装置を使用する矯正治療も多くなってきており、それであればブラケットを歯に接着しないので、詰め物があっても治療が簡単ですといった意見も耳にします。
これはある意味正解でもあり、不正解でもあると思います。
マウスピース型矯正装置を使用する場合でも、歯にアタッチメントというマウスピースを引っかけるような突起を付ける必要があるのですが、これも同じく接着剤を使用して作成するため、詰め物などに対しては接着力が極端に弱くなります。
アタッチメントの場所を変更できたらいいのですが、症例によってはそれが難しい場合、ブラケットを取り付ける矯正治療と同じような処置を行う必要が出てきます。
この様に、症例によって差はありますが、いずれにしても詰め物があってもほとんどの方は矯正治療を行っていただくことは可能です。
まずは矯正治療を専門として治療している歯科医院でどのような治療が一番適しているのかということをしっかりと診査・診断してもらい、治療を検討されるのがいいのではないでしょうか。