2021/06/08
今回は、矯正治療中の海外留学ということについてお話していきたいと思います。
新型コロナウイルスの影響で、今年は留学など難しいケースも多いと思いますが、
従来であれば新学期も始まり、そろそろ落ち着いてくる頃ではないかと思います。
新しい学年のイベントなども少しずつ増え始めて、夏頃には夏休みを利用した短期留学なども学校によっては行われているのではないかと思います。
そうした際に当院でも留学について相談を受けることがありますので、治療の可否や注意点などについてお伝えしていきます。
・短期留学について
上にも書きましたが、夏休みなどの短い休み期間を利用した留学に関してはそこまで大きな問題は無いかと思います。
症状や治療の段階にもよりますが、矯正治療は通常1から2か月に1回のペースで来院していただき、治療を行っています。
そのため、留学前に相談いただければ、そこに合わせて来院予約なども行いますので、
ご安心ください。
とはいえ、一定期間は来院することが難しくなるわけですから、
何かトラブルが起こった際の対処法などはしっかりとお伝えしますので、
きちんと理解した上で出発していただけたらと思います。
・長期留学について
まれに1年以上の長期留学に行くというケースの相談を受けることもあります。
近い国への留学で、1から2か月に一度は帰国することが出来るという場合なら当院での治療継続は可能ですが、それが難しい場合は治療自体困難になることが多いです。
留学が決まった状態で相談に来られた場合は、帰国してから治療をお勧めすることもありますし、現在治療中の患者さんの場合は、現地の矯正専門医に治療を引き継いでもらうことになります。
また、最近ではマウスピース型矯正装置だと患者さん自身が定期的にマウスピースを付け替えて治療を行うため、来院しなくても治療継続が出来るという宣伝を目にすることがありますが、これは少し怖いところがあります。
マウスピース型矯正装置で治療をする場合でも、歯の動きは予測できない動きをすることがあります。その際に、来院してマウスピースの再作成などで修正を行えば大きな問題になることはありませんが、それに気づかずに初めに作ったマウスピースを装着し続けていると、より一層動きがおかしくなってしまうこともあります。
つまり、矯正装置の種類によらず、一定の間隔で歯科医師によるチェックは必ず受けていただく必要があるということはご理解ください。
この様に、留学の期間などによって対応策は変わってきますが、私たちも患者さんの将来のために留学も矯正治療も諦めたくないという気持ちはとても分かります。
その患者さんにとってどの様にするのが一番いいのかを、症状だけではなく、ライフプランなどもしっかりと伺った上でご提案するように努力しています。
初めから無理だろうなと諦めてしまうのではなく、一度ご相談いただけると違った道をご提案できるかもしれません。
2021/06/01
今回は、矯正治療を行うことによって変化するものと
変化しないものがあるということについてお話していきたいと思います。
私たちのところでも、日々様々な方から矯正治療の相談にお越しいただいています。
相談内容も、「歯がガタガタだから治療したい」「出っ歯を治したい」
「笑った時の印象を良くしたい」など千差万別です。
もちろん矯正治療を行うにあたって、
患者さんの希望は最大限叶えられる様に努力していますが、
治療によって変えられないものもあります。
ではどういったところが変えられる、
変えられないのかについていくつか紹介していきます。
・大きな顔の変化をご希望の場合
矯正治療で綺麗な笑顔を手に入れるというのはとても大事なことだと思いますし、
私たちの治療目標としても大きな要素になっています。
ただこの綺麗な笑顔というちょっとあいまいな表現が難しい点でもあります。
美的感覚というのは皆さん一人一人異なりますので、
現状から歯並びが良くなって、見えるところが綺麗になっても満足ではないとおっしゃる方も少なからずおられます。
口元から見える歯並びの綺麗さ、
上顎前突(出っ歯)の方の横顔などある程度変化させることは可能ですが、
顔の大きな変化というところまで期待されてしまうと
ギャップを感じてしまうこともあるようです。
その反対に、今の状態を全く変えずに治療してくださいという要望に関しても、
努力はしますが多少の変化は起こってしまう可能性があります。
・加齢変化が加わるという点
矯正治療は年単位での治療を必要とします。
そのため、お子さんであれば少しずつ大人の顔立ちに変化しますし、
成人の方でもしわが出来てしまったり、顔が少し丸くなってしまうということは治療に関わらず極自然な変化として起こります。
矯正装置を外した時にそういった変化は多少なりとも起こり得るということは認識していただけたらと思います。
・体の不調を治すという点
よく噛み合わせが悪いと肩こりが起こる、
歯並びが悪いとスポーツ選手として力が出せないなどの話を聞くことがあります。
もちろんそういったケースも多々ありますし、
当てはまる人も多いのではないかと思います。
しかし逆に、噛み合わせを治したから肩こりが無くなる、
スポーツの才能が開花するということは絶対にそうなるということは断言できません。
噛み合わせ以外にも様々な要素がありますし、
本当に噛み合わせだけが原因の方なら肩こりが治るという変化も起きるかもしれませんが、個人差はあるということはご理解ください。
この様に、患者さんそれぞれに矯正治療について求めることは違っていますので、
診査・診断の際にはご要望は出来る限りヒアリングして実現可能なのかどうかという可能性は説明させていただきます。
何か譲れない点や希望の項目などある場合はその際にお申し付けいただけたらと思います。長い治療期間になりますので、お互いの認識を一致させて、一緒にゴールを目指せるよう努力していきます。
2021/05/01
今回は、頬を噛むということについて少しお話していきたいと思います。
食事などの際に、自分の頬の内側を噛んでしまい、
激痛が走るといったことは多くの方が経験したことがあるのではないでしょうか?
実はこれは歯並びに原因があることも多々ございます。
今日はその原因について詳しく見ていきたいと思います。
本来正常な歯並びをしていると、上顎の歯が下顎の少し外側にあります。
前歯だと上下の歯と歯が重なり、臼歯だと歯の約半分が内と外にズレて、
噛み合うといった状態です。
お土産で貰うクッキーの箱などをイメージしていただけると分かりやすいかもしれませんが、上の蓋部分が下の箱部分と“ズレた”状態でしっかりとはまり込むことが出来ます。
その状態だと、外側に来ている上蓋(上顎の歯列のこと)がカバーの役割をして、頬を噛むということはあまり起こりません。
しかし、この上下の関係が何らかの原因でズレてしまうと、
このはまり込むという状態が出来なくなってしまい、頬を噛んでしまうということが起こります。
叢生(乱ぐい歯、デコボコ)が1歯もしくは複数歯に見られ、上顎が内側、
もしくは下顎が外側に傾いてしまうと、上下の噛み合わせが不一致になってしまいます。
その不一致になっている特定のところで頬を噛みやすくなってしまうことがあります。
正常咬合だと、上顎の歯に対して下顎の歯は少しだけ後ろにズレた状態で噛み合っています。
ただこの上顎が少し後退してしまう、もしくは下顎が前方に出てしまうと前歯部の歯の先端同士がガチガチと当たってしまうという人がいます。
そうなると上下の臼歯で噛むことが難しくなり、下顎の歯が外に広がってしまうこともあります。
あまり多くないケースかもしれませんが、これで頬を噛むという人もいるのではないかと思います。
骨格性の問題であることが多いのですが、上下の歯列が左右にズレてしまっているケースです。
顔貌にも影響がありますし、前歯(中切歯)の真ん中のラインが上下で大きくずれている場合はこのケースに当てはまるのではないかと思います。
この様に、細かいパターンまで挙げだすとキリがないですが、大まかな原因は理解していただけるのではないかと思います。
せっかくの楽しい食事の時に、頬を噛んでしまうといった悲しい思いはしたくないものです。たまに起こるぐらいだと問題ないかと思いますが、頻繁に噛んでしまっているという人は一度歯並びを検査してみてもよいかもしれません。
2021/04/23
4月8日は「良い歯」の日です。
厚生労働省、日本歯科医師会は、8020運動をはじめとして国民のみなさんが何歳になってもご自分の歯で美味しく食事がいただけるように様々な啓蒙活動を行っています。
その他にも、11月8日は「いい歯の日」、
6月4日は「歯と口の健康週間」、
9月第3月曜日の敬老の日にも重点を置いています。
そんな中、今日は「理想の笑顔」についてお話ししたいと思います。
みなさん、ハリウッドスマイルという言葉を聞いたことがあると思います。
ハリウッドスターのトム・クルーズさんやアン・ハサウェイさんの笑顔が代表的です。
ハリウッドスマイルのポイントは、笑った時の口が半月形、
口角が左右対称、上の歯の10本が綺麗に見える、ピンク色の歯茎が少しだけ見える、
下の歯はあまり見えない、などです。
もちろん、歯の間に隙間があったり、八重歯があることはありません。
(日本では八重歯が可愛いとポジティブに捉える方もいらっしゃいますが、
欧米ではデメリットはあっても良い印象はありません。)
口角まで綺麗に並んだ白い歯は清潔感があり、
理想の笑顔と憧れる方も多いのではないでしょうか。
ハリウッドスマイルを手に入れるためには、
歯並びを綺麗に整えることから始まりますが、
実は歯並びを綺麗にした後の気持ちの部分がとても大切だったりします。
まず、不正咬合には軽度のものから出っ歯、受け口など色々な種類があります。
さらに医院によって矯正方法、期間、費用も様々です。
ご自分の希望や条件にあった医院選びはとても大切になります。
また、矯正歯科は専門性の高い治療が必要なので、
知識・経験が豊富な信頼できるドクターを見つけることも重要です。
歯並びを矯正することで、口元にコンプレックスを持っている方は自信がつき人前で歯を見せて笑えるようになります。
この「自分の笑顔に自信が持てる」ということは
とても大切なことだと思っています。
また、先にお話しした「何歳になってもご自分の歯で美味しく食事をいただく」
ことにもつながります。
歯並びや噛み合わせが良くないと、
歯ブラシが届きにくい部分が多いため虫歯になるリスクが高くなります。
また、不正咬合の症例によっては口がきちんと閉じられず、
口呼吸になり口臭、歯周病、虫歯の原因をつくってしまうなど
悪影響がでてしまうのです。
歯並びが綺麗になるだけで笑顔が素敵になるということではなく、
歯並びが綺麗になることで健康になり、
更に自分に自信が持てるから素敵な笑顔になると思っています。
この自分に自信が持てるようになるということは、
日々の充実感など、何物にも代えることの出来ない価値ではないでしょうか。
2021/03/27
今回は、矯正治療と受験というテーマで少しお話していきたいと思います。
最近は徐々に春らしくなってきて、卒業式だったのかなという学生さんを見かけることもよくあります。
来月には新しい学期や新生活をスタートするという節目の時期を迎える人も多いのではないかと思います。
そんな中で、「来年の受験前に矯正治療を検討している」という方や、「長男(長女)の受験や卒業が落ち着いたので、
次男(次女)の矯正治療を検討している」という相談に来られる方も少なくはありません。
では、矯正治療と受験についての関連性を、時期毎に見てきたいと思います。
まず中学受験に関してですが、矯正治療はⅠ期治療とⅡ期治療に大きく分類されます。
簡単に言えば成長途中の治療がⅠ期治療、永久歯が生え揃い、ある程度成長が進んだ時期からの治療がⅡ期治療となります。
小学生で成長が進みきることは無いと思いますので、個人差はありますがこの時期は取り外し可能な装置で成長を促す治療などが用いられることがあります。
そういった装置ですと、集中したい時に少し外すことも出来るため比較的安心して治療は進められるのではないかと思います。
ただ、装着時間が短くなると効果が薄れてしまいますので、必要時には必ず装着するようにお願いしております。
次に高校受験に関してですが、この時期は精神的にも少し不安定になりやすい時期のため、細心の注意を払っていただく必要があるかと思います。中学校に入ってすぐ治療を始めたお子さんなら受験の時期にはもう装置にも慣れていると思いますので、そこまで負担に思うことは無いと思いますが、時期が遅くなるにつれて慣れるまでの時間が短くなるのでその辺りの理解はしていただく必要があります。
最後に大学受験に関してですが、高校生ともなるともうご自身である程度意思決定も出来る年齢だと思いますし、そこまで受験の妨げになることは無いのではないかと思います。ただ個人差はありますので、その辺りはお子さんとしっかりと話し合っていただくのが良いかと思います。大学入学や成人式、就職活動など、これからの人生においてとても大事な時期も迫っていますので、そこにお子さん自身が自信をもって笑える歯並びをプレゼントしてあげるのも一生の贈り物になるのではないかと思います。
この様に、様々な時期における一般的な意見・考え方を書いてみましたが、もちろんお子さんの性格は千差万別ですので、これに当てはまらないケースもたくさんあるかと思います。治療期間なども今の症状によっても変わってきますので、今治療を受けるにしても後から開始するにしても、参考になる情報を早く入手しておくことは、後々の選択肢を増やすためにもとても有効な手段だと思います。そういったことも踏まえてアドバイスなども行っていますので、ご検討中の方は一度相談にお越しいただくことをお勧めいたします。