2020/06/09
いったんは緊急事態宣言が解除されましたが、
前回書いたように新型コロナウイルスに対して
細心の注意をしていきたい状況が続いています。
今回は、冬に到来すると心配されている第二波に備えるため、
健康状態を保っていきましょうということをお伝えできればと思います。
実はお口の中を清潔に保つことが、コロナウイルスに対抗することにも関係してきます。
以前ご紹介したこともありますが、
日本人の約8割がかかってしまっている歯周病から紐解いていきます。
歯周病は食べ物の磨き残しなどから細菌が増殖し、
毒性物質が歯肉に炎症を引き起こし、
更に上皮細胞を破壊することで起こります。
この歯周病の怖いのは、悪化してくると歯が抜けてしまうリスクが
あるということはもちろんですが、
細菌や毒性物質が歯茎の中の毛細血管から全身に拡散してしまうことです。
この血液から細菌が検出される状態の方が、
ウイルスに感染すると混合感染による肺炎リスクが高くなることが分かっています。
混合感染での治療では、抗生物質が投与されますが、
副作用で腸内細菌へのダメージが出てしまいます。
これは腸管免疫系に悪影響を与えてしまうことを意味しています。
少し難しい話のようですが、簡単に書くと、歯周病を放っておくことで、
全身の免疫系に悪影響を与えてしまう可能性があるということです。
新型コロナウイルスに対して現状特効薬がない中では、
ご自身の免疫機能を正常に保つことがとても大切になります。
つまり、口腔内を清潔に保つことは、新型コロナウイルスに対しての対抗策にもなるのです。
起こらないことを願いたいですが、第二波を想定したときに、
今出来ることとしては、日々の歯磨きを今まで以上に丁寧に行うこと、
今のうちに歯周病と虫歯の治療を完了しておくことをお勧めしたいと思います。
もちろん矯正歯科治療を行うことで、歯並びが綺麗になり、
磨き残しを減らすことで虫歯リスク、
歯周病リスクを下げるということもありますが、
今すぐに出来ることの一つとして、お口の中を清潔に、
健康に保つということを意識して頂ければ幸いです。
2020/05/27
以前埋伏歯についてご紹介したことがありますが、
歯のはえ方に関しての異常というのは、埋伏歯以外にもいくつかあります。
今日は、歯の生え方の問題、萌出異常についてご紹介したいと思います。
■埋伏歯
埋伏歯は、歯が生えてこないで埋まっている状態を指します。
永久歯の生え替わりがそろそろ完了しても良いはずなのに、
中々出てこないということから発覚することも結構あります。
痛みが生じるケースもあれば、気付かないこともあります。
歯茎の中に埋まっているだけならまだ良いのですが、
この埋まった歯が他の正常な歯の歯根に悪影響を与えるリスクがあります。
また、本来しっかりと生えてくることで、噛み合わせのバランスが整うので、
埋まったまま放置されると噛み合わせ異常が続いてしまうことになります。
■逆生歯
とてもレアなケースですが、本来の生える向きの上下が
逆になってしまっていることがあります。
たいていの場合は、歯茎の中で逆を向いている状態で、
患者さん自身で発見することはできません。
放っておくことのリスクとしては
正中離開など正常に生えている歯と歯の間に余計な隙間が生じてしまう、
あるいは埋伏歯同様に他の歯の歯根に悪影響を与えてしまうことが考えられます。
■移転歯
これもあまり多くないものですが、
本来の歯が生えてくる位置が入れ替わってしまっていることがあります。
歯はそれぞれ役割があります。
前から前歯(中切歯、側切歯)、犬歯、小臼歯(第一小臼歯、第二小臼歯)、
大臼歯(第一大臼歯、第二大臼歯)といった具合に並んでいます。
移転歯では、犬歯が第一小臼歯と第二小臼歯の間から生えてきてしまっているような状態です。
こういった萌出異常は、実は乳歯の段階で検査することで
早期に発見することが出来ます。
痛みが生じない場合も多々あるため、
永久歯への生え替わりの時期に不都合が出てくるまで気が付かないことがほとんどです。その段階になってから矯正治療を開始するとなると、
抜歯の可能性が非常に高くなってしまいます。
ですので、異常があるないは別にして、一度検査しておくことをお勧めいたします。
2020/05/01
今日は矯正治療中の患者さんがご自宅で出来ることについて
少し書いてみようと思います。
まず通常の矯正治療における来院はワイヤー矯正(本格矯正)の場合、約1か月ごとの通院が必要です。
この通院は、歯の動き方の確認と、装置の調整、衛生管理が主な目的となります。
歯の動き方の確認というのは、予定通り歯が動いているのか確認するものです。
食生活や栄養バランス、癖、そして骨の強さなど、
様々な要因からスムーズに動く人とそうでない人がいます。
そのため、定期的にチェックすることで、
次の1か月で動かす量や方向などを調整する必要があります。
コロナの影響が続き、来院間隔を出来る限り延ばし、
来院回数を減らせるよう努めていますが、
次の来院までの間に患者さんご自身で行えることがいくつかあります。
これはコロナの影響関係なく重要なことになりますが、
通常以上に丁寧にブラッシングを行うよう心がけてください。
以前もご紹介したこともありますが、矯正治療中に虫歯になってしまうと、
場合によって矯正装置を外し、
虫歯を治してから再度矯正装置を取り付けることになります。
また、虫歯治療のために、一般歯科への通院も必要となってしまいます。
特にお子さんの矯正治療の場合、
改めてお子さんの癖が出ていないかのチェックをお願い致します。
頬杖をしていないか、食べるときに左右両方の歯を使っているかといった確認です。
日々の癖が歯並びへの悪影響となりますので、
予定通りの歯の動きを進めるためにも大切です。
マウスピース型矯正装置や、リテーナーを使用した保定装置期間の方は、
必ず決められた時間は装置を使用するようにしてください。
マウスピース型矯正装置での治療の場合、予定通り歯が並ばなかったり、
リテーナーでは、後戻りなどが起きてくるなど、
治療期間に影響があるだけでなく、ひどい場合は再治療が必要となってしまいます。
矯正治療をしている場合、歯に何もついていない時と比べて
ストレスが出てしまうものです。
ご家族での会話を楽しんだり、
ストレスがかからないように意識して頂ければと思います。
まだまだ先が見えない状況が続いていますが、
ひらの矯正歯科では、これまで以上に感染予防に取り組み、
全力で患者さんを守るよう努めております。
何か通院において心配なことがありましたらいつでもご相談下さい。
2020/04/09
平素よりひらの矯正歯科にご来院頂きありがとうございます。
先日、ご存じの通り新型コロナウィルス(COVID-19)による感染拡大の影響を受け
安倍首相より緊急事態宣言が発令されました。
以前より当院は、感染予防に力を入れておりますが、
新型コロナウィルス(COVID-19)に対して
患者様、スタッフの感染予防防止の為さらなる対策を行っております。
当院の今までの感染予防の取り組み、そして追加対策も含めてご報告いたします。
①風邪の症状、37.5度以上の発熱がある方、強いだるさや息苦しさがある方は、予約変更をして頂き帰国者・接触者センターに連絡をして来院の許可がでるまで予約を変更。
②新型コロナウィルス患者との濃厚接触者の方は、各保健所より許可が出るまで予約を変更。
③海外渡航歴のある方は、帰国後2週間経過して症状等がなければ法令の許可が出ればお約束が可能。
④換気の徹底。待合室、診療室等の窓を常に開くことにより換気を徹底しております。
⑤待合室の書籍サービスの停止。※患者様が触るれるものを極力減らし感染のリスクを減らします。
⑥待合室に手指消毒剤を設置し来院時の消毒のお願い。
⑦待合室やドアノブのこまめな消毒。※皆様が触れる可能性があるところをこまめに消毒しています。
⑧診療ユニット(治療の椅子)は、患者様ひとり終わるごとに消毒を徹底的に行う。
⑨手袋、紙エプロン、コップなどディスポーザブル(使い捨て)にて対応。患者様ごとに必ず交換。
⑩お口に入る歯を磨く器具は患者様の人数分をそろえてありますので、ひとりごとに交換。
⑪消毒は、適正濃度アルコールとその他ウイルスに有効な薬剤をそれぞれの有効性を使い分けて使用。
⑫使い捨てにできない器具は、オートクレーブ滅菌器(高圧蒸気滅菌器)、ガス滅菌を行い滅菌、除菌を行っております。
⑬全ての窓を開けて空気循環していますが、さらに待合室や診療室に空気清浄機を複数台設置し空気の入れ替えおよび空気清浄を行う。
⑭スタッフは施術の際にマスク、ゴーグル、グローブを使用。
⑮スタッフの自宅、クリニック内問わず徹底した手洗い、うがい、消毒はもちろんのこと毎日の検温を義務化しており体調不良のスタッフは自宅待機となり出勤させないようにしております。(1月から4月現在のところ全てのスタッフにおいて風邪の症状や発熱したスタッフはこれまで出ておりません)
⑯スタッフ全員にマスクおよび手指消毒剤を支給し出勤退社時の移動の際のマスク装着および手指の徹底的な消毒を義務付けしております。
⑰待合室は、混み合わないように配慮させていただいておりますが、混み合いそうな場合は共用部分の広い風通しのよいところでお互いが離れて待つことも可能です。
⑱受付およびカウンセリングルームには、飛沫防止フィルムを設置。
⑲待合室に手指消毒剤を設置して患者様の来院時、退出時に手指の消毒をお願いしています。
上記以外にもさまざまな対策を行っております。
また今後の状況によりお約束の変更をお願いしなくてはいけない事態など発生するかもしれません。
それにより矯正治療の終了がその分遅れることが想定されますが、皆様の命が一番大事でありそれに勝るものはありません。
矯正治療も大事ですが、皆様のそしてご家族の命が一番大事です。
今後、予約の変更等の苦渋の選択をしてお願いしなければいけない可能性も
あるかもしれませんが、国難のため何卒ご理解ご協力のほど心よりお願い申し上げます。
ひらの矯正歯科は、患者様、スタッフみんなの感染予防、健康維持そして
なによりその命を守るため、これからも全力を尽くしてまいります。
宜しくお願い致します。
院長 平野 正芳
2020/02/21
今日は上顎前突を子どものうちに治した方が良い理由について考えていきたいと思います。
以前も書きましたが、上顎前突と一言でいっても種類があります。
「出っ歯」という言葉が馴染みがあるかと思いますが、
上の前歯が前(外方向)に出ている状態です。
しかし、患者さんによっては、上の前歯が外側に倒れている上顎前突と、
下顎の骨が小さい(下顎劣成長)ことで上の前歯が前に出ている状態になっている
上顎前突があります。これを骨格性の上顎前突と呼びます。
それぞれの特徴と、放っておくことのリスクをみてみましょう。
・特徴と原因
多くの方が「出っ歯」でイメージする不正咬合がこちらだと思います。
上の前歯が前に倒れいている上顎前突の原因の多くは、
舌癖や指しゃぶり等、患者さんの生活習慣や癖によるもの、または骨格性のタイプいわゆる顎自体が出っ歯のタイプです。
・放っておくことのリスクと対応
このケースの原因は、日々の癖から来るものなので、
放っておくことで症状が悪化することが考えられます。
そのため、歯並びの改善治療と同時に、
原因となる癖を改善していくことが必要になります。
・特徴と原因
骨格性の上顎前突は、上にあるように下顎の骨の成長が進まず、
顎の骨自体が小さいことで起きるもの、
下あごが後ろ方向にずれているものなど、患者さんごとに違います。
その原因も様々で、遺伝による先天的なものから、
頬杖などの環境要因によるものとあります。
・放っておくことのリスクと対応
実は問題となるのがこちらです。
たまに「生え替わりが終わって様子をみてから治療を考えましょう」
という話を聞くことがあります。
もちろん症状によっては、すぐに治療せずに様子を見るケースはあります。
例えば子供の「隙っ歯」などは永久歯への生え替わりによってバランスが整うケースが多々ありますので、様子をみることもあります。
しかし、骨格性の上顎前突の場合、いざ永久歯に生え替わってから治療を考えると、
抜歯や外科手術が必要になってしまうことがほとんどになります。
というのは、下顎劣成長などが原因での上顎前突は、下あごの成長を促そうにも、
骨の成長が終わってしまっているため、噛み合わせを正常にするために抜歯をしたり、
顎の出っ歯が重度な場合、骨を酢術でカットして揃える手術などおおがかりな処置が必要になってしまうのです。
その為、骨格性の場合は、骨の成長が続いている段階で治療を開始し、
出来る限り抜歯と手術なく治療することが重要になります。
■骨の成長を助ける治療
下顎の成長を助けながらの治療はいくつか方法があります。
ヘッドギアなどを使って顎の成長をサポートしたり、
マウスピースを使用したり、患者さんの状態に合わせた治療方法を選択していきます。
ひらの矯正歯科で重要視しているのが、
患者さんの精神的負担を出来るだけかけないように治療するということです。
そのため、自宅でご自身で着脱できるものを使用し、
骨の成長を助けていきます。
実際にこういった症状で相談にこられる方が驚かれるのですが、
ブラケットなどの矯正装置を歯に付けることなく、
顎の成長を促すだけでほぼ歯並びが改善して揃っていくことも結構あります
(全ての患者さんに当てはまるものではございませんが)。
患者さんご自身、あるいは親御さんが骨格性の上顎前突かどうかを
判断することは難しいかと思いますので、
少しでも気になる場合は将来の手術や抜歯の可能性を判断するためにも、
早めの相談をお勧めしています。