2016/05/10
今回は、横顔の審美について以前より少し詳しく書いてみようと思います。
矯正治療を受ける理由で多いものの一つは、見た目の改善で
上顎前突(出っ歯)や下顎前突(反対咬合、受け口)などのような
重度の不正咬合に限らず、軽度の叢生(デコボコ、乱ぐい歯、八重歯)など
多くの患者さんに共通して求められていることかと思います。
矯正治療に入る前の診断の段階では、
様々な角度から現状の確認、検査を行いますが、
今日はその中でも横顔にフォーカスして見ていってみましょう。
矯正専門医としてどういった観点から
確認しているのかの一部紹介になります。
E E-line(エステティックライン)
E-lineというのはエステティックラインの略で、
イーラインと読みます。
真横から見たときの鼻の先端から下あごの最も飛び出ている点を結んだ線を指します。
一般的に口の先端、つまり上唇と下唇が
このE-lineから2㎜程度内側にある状態が審美的とされています。
現代日本人の場合は、このラインに唇が触れる状態の方が多く、
欧米人の場合は鼻が高いこともあり、
上下の唇の位置はこのラインの5~6㎜程度内側にあるのが一般的になっています。
鼻の高さにも影響を受けますが、歯が突出していたり、
下顎前突の場合には唇がこのラインの外側に出てしまうこともあります。
②鼻唇角
鼻の先端から鼻の付け根までのラインと、
鼻の付け根から上唇を結ぶラインとの間の角度を指します。
平均で考えると、日本人の場合は90°から100°前後、
欧米人で90°から120°ほどが平均といわれています。
この角度が極端に大きく、あるいは小さくなることで
見た目にもだいぶ影響が出てきます。
③頤(オトガイ)
下あごの先端部分のことを頤といいます。
下唇の先端から頤を通ってのどに行きますが、
この頤までのラインがS字のようになっているものが審美的と考えられています。
また頤に関しては、正面から見た際にシワが寄っているかどうかなども確認します。
審美に関しては人それぞれの価値観に左右されるので、
必ずしもこれが美しいと断言出来るものではありませんが、
ほとんどの不正咬合の患者さんをチェックすると、
上記項目から大きく離れているということがわかります。
ご自身のチェックだけでなく、好きな芸能人や有名人の写真などで
チェックしてみても面白いかもしれませんね。
審美的な側面からの自己チェックの一つヒントになれば幸いです。
2016/04/19
今回は、大人の矯正治療に関して書いていこうと思います。
子供の矯正治療に関しては、顎の骨の成長をある程度コントロールしながら
永久歯を抜かない非抜歯での治療の高めることができるなどが言われていますが、
成人の矯正治療に関してもいくつかメリットはあります。
以前、主体的に矯正治療に取り組めることで、
着脱式の矯正装置もしっかりと使い、
治療期間が比較的予定通りになる傾向があるということを
書いたこともありますが、今回はそれ以外のメリットをいくつかご紹介します。
① すぐに治療を開始できる
小児矯正と違い、成人矯正はすでに永久歯列になっているため、
歯の萌出を待つ必要はありません。
基本的に12~13歳程度までに28歯全てが生えそろいますが、
小児矯正の場合は最終的な咬合、歯列の仕上げとして永久歯が
全て出てくるまで待つ期間が生まれることがあります。
② 抜歯、非抜歯が明確
基本的に抜歯が必要になるケースというのは、
歯列を並べる顎のスペースが足りない場合です。
子供の場合、骨の成長過程にある為、
成長を促しながらスペースを確保し、
非抜歯治療の方向に比較的持っていきやすいというのはあります。
しかし、遺伝の要素も含まれるため、
最終的に顎の骨がどこまで成長するかは
あらかじめ完全にわからない部分がある為、
実際に治療途中で方針が変わることもあります。
それに対して成人矯正はすでに骨の成長過程は終わっているため、
矯正治療開始前の直近の段階で抜歯が必要かどうか
わかりやすいということが言えます。
非抜歯で治療する方法としては
歯を並べるスペースを確保する方法として
歯列弓(アーチフォーム)を広げる、
大臼歯を奥に移動させる、など様々ありますので、
矯正専門医にご相談下さい。
③ 治療装置を自分で選ぶことが出来る
これはある意味当たり前のことですが、
矯正装置を自分の判断で決めることが出来るということもメリットです。
審美性を優先するために裏側矯正(舌側矯正、リンガル)を
選択することもできますし、費用面を優先するために表側矯正を選択する、
あるいは痛みなどを軽減するためにセルフライゲーションを選ぶこともできます。
ご自身の生活状況、お仕事の種類なども含めて相談し、矯正治療を行えます。
また治療期間中に思った疑問もすぐに聞くことが出来ます。
これはほとんどの場合ご自身の意志で矯正治療を開始しているため、
多くの患者さんが日々治療に関して矯正専門医と
コミュニケーションを取りながら矯正治療を進めていく傾向があります。
他にもメリットは様々ありますが、
基本的にご自身の意志で矯正治療を始められる
ということがベースにあるのではないでしょうか。
また矯正治療は口腔内の状況によりますが
基本的に年齢関係なく行えます。
気になった時に矯正専門医に相談してみていただければと思います。
2016/04/06
今回は少し趣向を変えて、ビジネスパーソンと歯列矯正について
お話していきたいと思います。
皆さんの周りの方で、矯正治療をされている方を少し思い出してみてください。
家族・友人など思い出されるのは様々かと思いますが、
性別で言うと女性を思い出された方が多いのではないでしょうか?
これはこれまで歯列矯正が見た目の改善など
審美的なイメージが強かったからではないでしょうか?
実はアメリカなどでは、ビジネスパーソンの出世の妨げになるものとして、
「肥満」「喫煙」が代表的な要因に挙げられていますが、
それと並んで「歯並びの悪さ」も関係していると言われています。
しかし、客観的に考えてみるとこれは日本でも同じことが言えると思います。
それでは、男性にどれだけ矯正治療が広がっているかを調査したデータがありますので、ご覧ください。
少し古いデータにはなりますが、
年齢比較から見てみると18歳以上の大人になってからの
矯正治療の割合は高くなっています。
また、男女比較で見てみると、わずかではありますが
男性の治療割合が増加しております。
この調査から、少しずつではありますが男性の方々にも
審美面や健康面から矯正治療が広がってきているのではないかと思います。
最近の男性のケースで考えると、営業やサービスなど、
人と接する機会の多い方の歯並び相談が増えてきています。
また以前ご紹介しましたが、英語を仕事で使う方も相談が増えています。
発音の問題と、歯並びに対する海外の方の意識に自分も合わせていく
ということをおっしゃっています。
中にはパートナー(奥さんや彼女さん)に言われて来た
という方もいらっしゃいます。
若いうちに治療を行った方が確かに歯の移動も早く、
叢生(乱杭歯、凸凹)なども治るのが早い傾向があります。
しかし、重度の歯槽膿漏などが無い限りは矯正治療を行えますので、
社会で活躍されている男性もこの歳になってと思わずに、
一度検討してみてはいかがでしょうか。
矯正装置も見えない裏側矯正(舌側矯正、リンガル)を
選択することもできますので、治療の費用や期間など
気になることはカウンセリングでご相談に乗らせていただければと思います。
2016/03/18
アメリカ人が日本人と比べて歯列矯正を受ける割合が高い
という話をよく耳にします。
なんと約25倍の矯正治療経験者がいるというデータもあるくらいです。
今回はアメリカと日本の矯正治療に関しての比較
について考えてみたいと思います。
アメリカ人の方が多いとはいえ、
日本の矯正治療患者も増えてきている気もしますが、
その要因の一つとして海外との接点が増えてきたこともあるのではないでしょうか?
実際、留学や海外への転勤を考えて発音の観点から
矯正治療を始められる患者さんもいらっしゃいます。
また、海外で矯正治療を開始して、途中で帰国したため
治療の続きを当医院で行う、あるいは逆のパターンもあります。
こういった海外と日本の両方で矯正治療をやられた方に
お話を聞くと様々な観点から違いが見えてきますし、
だんだんとそのギャップも埋まってきている感じもします。
まず歯に対する意識の違いが最も大きい差のようです。
渡米経験がある方々に聞くと、歯並びがガタガタな人や、
上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口、反対咬合、しゃくれ)など
重度の不正咬合の方をまず目にしないということをおっしゃっています。
アメリカの文化では、そういった不正咬合は貧しさを象徴しているという
認識もあり、漫画などでも悪役や貧しい人を描く際には
歯並びをガタガタに描くそうです。
そのため多くのアメリカ人の親たちは、特に子供の歯並びに関しては、
誰かに勧められることなく歯列矯正に対して積極的です。
また不正咬合による健康リスク、例えば齲蝕(虫歯)や歯槽膿漏、
発音に関する問題だけでなく、スマイルそのものに対する意識も高いようです。
多種多様な人種がいるということもあり、
相手に安心感を与えるためにもスマイルが生きるために
必要なものとされてきたという話もあります。
そして日本と違い挨拶としてのキスを習慣にしています。
恋人や夫婦だけでなく友人間でも日常生活に浸透しているため、
口臭も含めて重要と捉えているようです。
もちろん歯並びに対する意識の違いだけでなく、
自由診療の観点から費用の違いもあります。
文化や歴史の違いがありますので、
もちろんどちらが正しいという話ではありませんが、
海外との距離が近くなってきた近年において、
少し意識を外に向けてみても良いかもしれませんね。
2016/03/11
5年前の今日、東日本大震災が起こってしまいました。
ちょうど5年前、午後の診療中に地震が起こりました。
ひらの矯正歯科がある地域は地盤が固いため震災の当日もその揺れは激しくなく
地震が終わったあとも通常通り診療をしておりました。
そして診療後に駅へ向かったスタッフから電話があり
「先生、電車が止まっています。どうしましょう?」
慌ててニュースを見てみると東北地方の津波の映像がながれ
大変な惨事に気が付いたのを記憶しています。
あれから5年経ちましたが、原発の問題や復興の問題もあり日本の皆で
結集し解決すべきことが多くあります。
そんな中、「三陸沖に瀬谷丸を」という瀬谷区から瀬谷で募金を集めて
瀬谷丸という漁船を震災地に贈ろうというプロジェクトが組まれて
瀬谷区の学校、幼稚園、クリニックなど各団体に募金箱を設置し
見事、目標額に達成をして瀬谷丸という漁船を復興支援として
東北へ贈ることが出来たそうです。
その解散式が先日、瀬谷公会堂で行われました。
歯科医師会も協力をしていたので解散式のチケットを頂きました。
当日、私は診療があったため妻と子供たちの三人で参加してきました。
ライトフライ級王者の八重樫 東さんも東北出身ということで
いらしていました。長男に声をかけて頭をなでてくれていたそうです。
また歌手のMayJ.さんも横浜市出身とのことでゲストでいらして
Let it goやご自身の新曲など披露されて地元小学生に花束を
渡されていたそうです。
瀬谷丸は、三陸沖で大活躍をしてるとのことです。
一刻も早い復興を心よりお祈りしております。