ひらの矯正歯科|横浜市の矯正歯科 ブログ

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マウスピース型矯正装置に関して

今日は、ここ数年で広がってきたマウスピース型カスタムメイド矯正装置に関して少し書いてみようと思います。

もともと矯正治療は、ブラケットと呼ばれる矯正装置を歯に装着し、そのブラケットに形状記憶の細いワイヤーを通して歯を動かしていくという物でした。表側に金属のブラケットをつけることで、矯正治療中の見た目が気になるという患者さんが多く、ブラケットが白や透明のものになりました。更に裏側に矯正装置を付ける舌側矯正(リンガル)が進化し、矯正治療中に見た目を気にすることが無くなりました。

そんな中登場したのがマウスピース型矯正装置で、インターネット上でもマウスピース型カスタムメイド矯正装置で治療する歯科医院がよく見られるようになってきました。

このマウスピース型カスタムメイド矯正装置に関しては、様々な見解があり、単に「簡単」「見えない」といったことだけで治療を受けるとトラブルになることも出てきているようです。

また、日本矯正歯科学会が、このマウスピース型カスタムメイド矯正装置に関して見解を示していて、患者さんにとっても大切なことなので紹介しておきます。

【公益社団法人日本矯正歯科学会 ポジションステートメント マウスピース型カスタムメイド矯正装置による治療に関する見解】として、2019年6月に発表されています。

この中で2つ重要なことが挙げられています。(以下抜粋:http://www.jos.gr.jp/news/2019/0605_13.html)

① 「患者自身の独自の判断でこれらの製品を使用し歯の移動を行うことは、歯科医学的にも非常に危険であるため絶対に避けてください。」
② 「大学病院等や学会が認める基本研修機関において十分な矯正歯科領域全般にわたる基本的な教育と臨床的なトレーニングを受けた歯科医師による診察、検査、診断を基に治療を行うことを推奨します。」

最近歯科医師を通さずに歯並びを治せるという情報も出てきているようで、その点が特にトラブルを生んでいるようです。

実はこのマウスピース型カスタムメイド矯正装置の多くは、「海外技工物」として、日本の厚生労働省を通さないで販売されてしまいます。厚生労働省の管轄ではなく、「モノ」なので経済産業省の管轄になってしまいます。そのため、実際は医療として使用されるものも、チェックを受けずに存在できてしまうのです。

これは何を意味しているかというと、万が一トラブルが起きても何の保証もないということになってしまい、患者さんご自身が取り返しのつかないことになってしまうリスクがあるということです。

マウスピース型カスタムメイド矯正装置は、治療中目立たない、歯磨きが楽、金属アレルギーでも大丈夫など、様々なメリットがあります。しかし同時に歯の動きの限界があったり、患者さんの不正咬合の状態や原因によっては適さないこともあります。

ひらの矯正歯科でも「アソアライナー」という日本国内で専門の歯科技工士さんが作るマウスピース型カスタムメイド矯正装置での治療を行うことが出来ますが適応症がありますので患者さんの状態をしっかりと検査し、診断してから見極めてから判断していくことが大事だと考えています。
マウスピース型カスタムメイド矯正装置は適応症が限られていますので当院では基本的には、より実績のある従来のワイヤーによる矯正治療をお勧めしています。

ワイヤー矯正、マウスピース型カスタムメイド矯正装置に関して気になることがあれば、メリット、デメリット・リスクなどをしっかりとご説明いたしますのでいつでもご連絡ください。

注)マウスピース型矯正装置を用いた治療は保険適用外の自由診療となります。
厚生労働省の認可(医薬品医療機器等法上の承認)は得ていないため、まだ明らかになっていないリスクが存在する可能性があることをご了承ください。
また、完成物薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済措置の対象外になることがあります。

歯科検診と矯正治療

今回は、お子さんの学校での歯科検診で、矯正治療を勧められた場合についてのお話をしていきたいと思います。

学校の歯科検診は、地域の歯科医師会に所属している先生によって、お子さんの口腔内の状態を把握するために行われている検診の事です。
主な検査項目として「①細菌感染が原因の虫歯の有無」「②歯肉が炎症を起こしていないかどうか」「③乳歯から永久歯への生え変わり状況は適切かどうか」「④歯並びや噛み合わせの状態に異常はないかどうか」というような項目についてチェックをして、問題のあるお子さんにはその旨を伝えて治療を促すということになります。

歯科検診で矯正治療を行うべきと診断される場合は、見た目の問題だけではなく、咬合の悪さからくる頭痛や、顎関節炎など、様々な身体的トラブルを引き起こす可能性がある時です。不正咬合の種類にも叢生(デコボコ、乱ぐい歯)、上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口、しゃくれ)、開咬や過蓋咬合など挙げ出したらきりがないですし、複数の症状が併発していることもあります。
軽度であれば治療を勧められることはありませんが、機能的に問題が起こりそうな場合などには治療を検討してみることを勧められることがあります。

また、早いうちに不正咬合を改善することによって、食事の際にしっかりと食べ物を噛み砕き、消化吸収の効率を良くする、綺麗な歯並びを手に入れることによってコンプレックスを取り除き、精神的な面でいい影響を与えるなどの効果も見込まれます。

お子さんによって矯正治療を始めるべきタイミングは異なりますし、歯科医師によって意見が分かれることもあります。絶対の正解を出すという事は難しいケースもありますので、複数の歯科医院に相談に行き、総合的に判断してみるのも有効ではないかと思います。
当院でもわからないことなどはしっかりと説明するように努めていますので、疑問に思うことなどあればいつでも相談に来ていただけたらと思います。 

シニア世代の矯正治療について

今回は、シニア世代の矯正治療について、メリット・デメリットなどを中心にお話していきたいと思います。

矯正治療は少し前までお子さんが受ける治療という印象が強かったのではないかと思いますが、近年では20歳以上の成人が矯正治療を受ける割合が増えてきています。
その中でも最近何件か相談を受けた、シニア世代に矯正治療についてどの様なメリットがあるのかを説明していきます。

・口元の若返り

年齢を重ねると、口周りの筋肉の衰えなどで少しずつ唇や口角が下がってきます。そうすると、今まであまり見えていなかった下顎の歯が見えやすくなってくるので、叢生(デコボコ、乱ぐい歯)や下顎前突(受け口、しゃくれ)があるとそこが目立ってくるようになります。そのため歯列を綺麗に整えてあげるという事は口元が若く見える要因になります。
また、咬み合わせが悪いまま放置してしまうと、顎の筋肉にも悪影響を及ぼします。
片方の歯ばかりで噛んでいたり、咬みにくい部位などがあるとそこをカバーするように他で噛む癖がついてしまうため、筋肉のバランスが崩れてしまいます。
筋肉が弱ってくると口元全体が下がってしまうため、少し老けた印象を与えてしまう可能性もあります。

・消化による健康維持

咬み合わせが悪いと食事を摂る際に、しっかりと噛み砕かずに飲み込む癖がついてしまいます。そうすると上手く食べ物を消化することが出来なかったり、頑張って消化しようとする胃腸に負担をかけてしまうことになります。
さらに人によっては咬みにくいからと柔らかいものばかりを好んで食べるようになり、上にも書いた様に口周りの筋肉の衰えにも繋がってしまいます。
しっかり咬み合わせの整った歯で食事を摂るということは、健康に過ごすことに繋がっています。

では次にデメリットについても説明していきたいと思います。

・治療期間が長くなる可能性がある

矯正治療は、矯正装置によって歯に少しずつ力を掛けていき、力が掛かっている側の歯槽骨を吸収(骨吸収)し、反対側の骨を再生する(骨再生)という仕組みを利用して動かしていきます。年齢を重ねると新陳代謝が低下し、この骨吸収と骨再生のスピードが遅くなるため歯の移動に時間がかかってしまいます。

・慣れるのに時間がかかる

これは個人差がありますが、比較的子供よりもシニア世代の方が矯正装置の違和感に慣れるのに時間がかかると言われています。
食事やブラッシングの方法も長年行ってきた方法と少し変えていただく必要があるため、ギャップが大きいのかもしれません。

この様に、シニア世代の矯正治療のメリット・デメリットの代表的なところを説明してきました。ただ、どの世代の治療に関してもメリット・デメリットは存在しますので、デメリットがあるからやめておこうという考えではなく、治療をすることによってご本人のメリットとデメリットのどちらが大きく影響するのかという事で考えてみてもらえるといいのではないでしょうか。
もう少し詳しく話を聞いていたいという場合、いつでも遠慮なくご相談に来ていただけたらと思います。

美容大国、韓国の矯正治療について

2022年の今年、10月5日から日本矯正歯科学会学術大会が大阪で開催されます。

今年の学術大会は、日韓ジョイントシンポジウムも開催される予定で韓国の先生方も多くいらっしゃると思われます。

そこで今回は美容大国とも言われている、韓国の矯正治療についてお話していきたいと思います。

 

韓国では整形治療が身近にあり、美意識がとても高いと言われています。

そしてこの美意識から、歯並びの改善や歯を白くするという事はとても大切だと考えられており、

デンタルIQ(歯に対する意識や知識)もアメリカと同様にとても高いと言えるのではないかと思います。

それと比べると、日本人はそこまでデンタルIQが高くなく、歯に対する執着がないように見られているようです。

 

また、韓国の食文化というのも、口腔ケアに対する意識に大きな影響を及ぼしているのではないかと考えられています。

と言うのも、韓国では料理にトウガラシやごま油など匂いが強く、色味がつきやすい香辛料などを多用します。

これらの香辛料は、歯の色素沈着や黄ばみになりやすいので、韓国では毎食直後に歯みがきをするというケアが一般的になっています。

自宅でのホワイトニングアイテムなどもいろいろ販売されており、口腔ケアに時間とお金をかけているという事も美容大国と言われる大きな要因かと思います。

 

さらに、日本では虫歯の治療は保険診療となりますが、韓国ではすべて自費診療となります。

虫歯1本治療するのに2万円~3万円かかることもあるため、虫歯にならないように日々予防ケアを欠かさないという違いもあるのではないでしょうか。

 

そんな口腔ケアの意識が高い韓国では、矯正治療はごく一般的に行われています。アメリカなどでもそうですが、

歯並びが悪い=自己管理が出来ておらず、だらしがないと捉えられてしまう面があるためです。

そのため、就職活動や婚活などで外見での偏見をなくすために、遅くても学生の頃に矯正治療を終えてしまうというのが当たり前になっていると聞いたことがあります。

 

また、韓国語の発音では、口を窄めたり、大きく開けたりと非常に口周りの筋肉を使用します。

大きな口を開けて発音する必要がある分、日本より歯並びに目が行ってしまうというのも事実ではないでしょうか。

 

とはいえ、日本でも少しずつ矯正治療の需要が高くなってきているのも実感しています。

マウスピース型矯正装置や舌側矯正装置など非常に目立ちにくい装置も出てきていますので、周りに気付かれにくい矯正治療が出来るようになってきました。

また、コロナ禍でマスク生活をしているうちに矯正治療をしてしまおうという考えから、治療の相談にお越しいただける方もとても増えています。

 

日本ではまだまだ矯正装置を見られるのが恥ずかしいという意識が残ってはいますが、

こういった様々なきっかけで少しずつ矯正治療が当たり前の世の中になれば、皆さんのお口の健康にとって非常に有意義な事ではないかと思います。

 

もし今お悩みの事や、こういう矯正治療がしたいという要望などがある場合は、一度相談に来ていただけたらと思います。

可能な限り要望を取り入れつつ、治療できるようしっかりと計画を立ててご説明するようにいたします。

ほうれい線と矯正治療

今回は、ほうれい線と矯正治療の関係についてお話していきたいと思います。

 

女性の患者さんからたまに、口元が前に出ているため、ほうれい線が気になるので何とかならないかというご相談を受けることがあります。

そもそもほうれい線とは、顔の小鼻の脇から口の端までに見られ、表情を変えたときなどに両側に伸びる長い溝というと分かりやすいのではないでしょうか。

ほうれい線というと大きなシワと捉えられがちですが、厳密に言うとシワではなく、顔の筋肉の境目そのものを指しています。

ではこのほうれい線が見えやすくなってしまう原因は何なのでしょうか。

 

 

・上顎前突(出っ歯)

 

先程お悩み相談で来られる方がいると書いた様に、上顎前突(出っ歯)の場合、口元が前の方に突出しているのが特徴で、頰骨(きょうこつ)の部分と比較して、歯の部分だけが前方へと突出します。そのため、上顎前突の人は、頰との境界線が目立ちやすくなり、ほうれい線が目立ってしまうという可能性があります。

また、上顎前突で歯が唇からはみ出して見えてしまうケースでは、前歯を隠そうと無理に上唇をかぶせるようなクセが出てしまうことがあります。

この様に日常的に鼻の下をのばす仕草をしているので、肌は伸縮を繰り返し、ほうれい線が目立ちやすくなってしまいます。

 

・口腔周囲筋の筋力低下

 

口腔周囲筋(お口の周りの筋肉)が弱い方は、口をしっかりと閉じることが出来ず、口呼吸を繰り返していることが多いです。そうすると歯が舌で押される力を唇で受け止まることが出来ないので上顎前突の症状が出てくることがあります。

上でも書いた様に、上顎前突だとほうれい線が目立ちやすくなるという事と併せて、口腔周囲筋が衰えてしまうと口周りのたるみにも繋がってしまい、よりほうれい線が目立ちやすくなります。

 

・栄養バランスの偏り

 

叢生(デコボコ、乱ぐい歯)や咬み合わせが悪い患者さんでは、食事の際にしっかりと食べ物を噛み砕くという能力が少し低下している可能性があります。

食べ物を細かく噛み砕けないという事は消化吸収にも悪影響を及ぼし、栄養バランスに偏りが生じてしまうこともあります。

栄養バランスが偏ると、肌の張りや弾力が失われやすくなりますので、ほうれい線や小ジワなどが目立ちやすくなる可能性があります。

 

 

この様に、ほうれい線と言っても様々な要因があり、それらがいくつも絡み合って目立ちやすくなってしまいます。

そのため、矯正治療を行えばほうれい線が目立たなくなるという保証は出来ませんが、可能性として現状より目立ちにくくなることはあります。

 

また、綺麗な歯並び・口元はとてもいい笑顔を手に入れることにも繋がってきますので、ほうれい線に限らず、お口のことでコンプレックスをお持ちの方は一度相談に来ていただくことをお勧めいたします。

現在の状況をしっかりと確認し、どの様な治療・可能性があるのかについてしっかり説明しますので、納得いく場合は治療を検討していただけたらと思います。